トランプ・パウエル論争で米ドルが急落、原油価格上昇分を帳消しに
ロンドンでは原油価格はほとんど変わらず、連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長の将来をめぐる憶測でドルが乱高下したことを受け、前日の上昇分を失った。
ロンドンでは原油価格はほとんど変わらず、連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長の将来をめぐる憶測でドルが乱高下したことを受け、前日の上昇分を失った。
ブレント原油は1バレル68.38ドルで取引され、この日の早い時間帯には69ドルまで上昇した。WTI原油も同様の動きを見せた。原油価格の上昇とほぼ同時期に米ドルは逆の動きを見せた。トランプ大統領が引き続き利下げを推し進めていることが、原油価格の上昇を揺るがした。トランプ大統領はパウエル議長解任の計画を議員らに持ちかけたものの、これを否定した。
UBSグループの商品アナリスト、ジョバンニ・スタウノヴォ氏は、「ドルのようだ」と述べ、「市場参加者はFRBに対する懸念を少し調整しつつあるようだ」と語った。
金属や穀物など、米ドル建ての他の商品も下落した。原油は、供給懸念にもかかわらず下落した。米国の主要貯蔵拠点であるクッシングの備蓄量は引き続き減少しており、クルディスタンでは原油田へのドローン攻撃により、日量約20万バレルの原油生産量が減少している。
米国では、留出油在庫は先週の増加後も、1996年以来の季節最低水準にとどまっている。同時に、ディーゼル製造の収益性を示す指標となる低硫黄軽油とブレント原油の9月限先物スプレッドは、今月約7%拡大した。
中東では、イラク北部の半自治区クルディスタンにある複数の油田が水曜日にドローン攻撃を受け、同地域のエネルギー施設が既に直面している安全保障上のリスクがさらに高まった。しかし、クルディスタンは2年以上前に輸出パイプラインが閉鎖されて以来、世界市場への原油輸出を停止している。